ゆめにっきのしょうせつ
日日日氏による、かの有名なフリーゲーム「ゆめにっき」の小説です。
ゆめにっきは2004年にききやま氏によって公開され、かなり昔のゲームにも関わらず、現在でも国内外で強い支持を受けています。
(原作)
ゲームの内容はただひたすら夢の中を歩き回るという一見作業じみたものなのですが、夢の中におけるその世界観があまりに人々を惹きつけるほど鮮烈で(陰鬱でもある)、だからこそ人気があるのだと思います。
世界観ゲーです。解釈ゲーです。いや、もはや楽しみ方は完全に自由なのでNASUをひたすらプレイし続けるというのも一興でしょう。
<内容>
扉を開けたその先には、不可解な景色が広がっていた。深い眠りに就いた少女は、ひとり夢の中をあてもなく歩きはじめる…伝説のフリーゲーム『ゆめにっき』小説化。
(BOOKデータベースより)
抽象的な事物が広がる世界(鳥人間や死体、目玉が付いた腕など)を少女が歩き回ります。
物語の大半は少女がひたすら夢の中を歩き回るという内容ですが、ストーリーの展開はもちろんあります。
物語は少女とは違う、少女を傍観する人物の視点で語られます。(その人物も登場する)
この小説におけるあらゆる部分が謎に満ちており、自分なりの解釈が必須となると思います。
<感想>
夢というのは謎が多い分野です。混沌としたその世界において自分の記憶、トラウマ、抽象的概念、感情など、あらゆるものが現れます。非常に興味深いです。(そしてゆめにっき小説版には心理学の権威である、ユングやフロイトによる理論が出てきたりします。)
こういう類のゲームを小説化したという事で、発売当初はどのような内容になるか、ある種の期待を持っていたわけですが、個人の感想としてはかなり良かったです。(評価はかなり別れると思われる。)
元々、ゆめにっきというゲーム自体強い抽象性があるゲームです。そのゲームを小説化する上では自己流の解釈が必要なわけで、つまりこの小説も一個人の解釈に過ぎないわけです。
しかし、この日日日氏による解釈の仕方は個人的に好きで、良くここまで作品として完成させてくれたと言いたいです(若干上から)。本当に満足です。
しかし、恐らくこの本は2周くらいしなければ全体の理解は難しいんじゃないかなと感じましたねェ、、、。
○暗い雰囲気が漂う物語というのもあり、苦手な方も多いと思いますがゆめにっき原作にハマった方には是非、オススメです。